5月16日の夜遅く、西城秀樹さんが亡くなった。なんと63歳、早すぎる死に驚いた。死因は「急性心不全」と報じられましたが、そこに至る背景疾患があるはずです。様々な情報を総合して考えると、根本的な原因(死因)は、脳梗塞や心筋梗塞など「動脈硬化のなれの果て」だろうと推察します。
そして、当クリニックにかかっていたなら、こんな年齢で死なせることはなかったのに…と思います。「ずいぶん大きく出たな」と思われるかもしれませんが、私は自信を持ってそう断言できます。
西条さんは48歳で最初の脳梗塞を患いましたが、それまで1日4箱(80本)のタバコを吸っていたとか。発症以降は禁煙し、リハビリに努めたようです。しかし、その8年後、脳梗塞を再発しました。ヘビースモーカーゆえ脳動脈や冠動脈を初め全身の動脈硬化が著しく進行していたに違いありません。絶えず血流と接する動脈の内面がスベスベではなく、ゴリゴリに荒れていて血栓が出来やすい状態であったと考えられます。
一般に動脈硬化は高血圧や糖尿病で加速されるため、血圧を下げたり血糖を下げたりすることによって動脈硬化の進行を抑えようと主治医は考え、それを実行したことでしょう。しかし、現実には梗塞を繰り返してしまったのです。
高血圧や糖尿病が無くて動脈硬化だけが顕著な場合、どんな治療が為されるのでしょう? 殆どの医師はコレステロール低下薬(スタチン)を処方したり、生活習慣の改善指導を行うだけではないでしょうか?
一方、私はACE阻害剤トランドラプリルやARBテルミサルタンを用いて積極的に動脈硬化の進行を阻止し、治療実績を挙げています。しかも、治療の対象とするのは、高血圧の有無、糖尿病の有無を問わず動脈硬化のある患者さん全員です。動脈硬化という病変は、生きている限り、年齢と伴にじわじわ進行していくものなのです。高血圧や糖尿病はその進行を加速する要素に過ぎないと言えます。
従って、血圧や血糖を下げるだけでは動脈硬化の進行を抑制することはできません。最も多く処方される降圧剤アムロジピン(その他のカルシウム拮抗薬も)は、血圧を下げる力は強いけれども動脈硬化を抑えることはできません。同様に、血糖をいかに厳密にコントロールしても動脈硬化を抑えることはできません。
西城秀樹さん、漢字で書くと私・奧西秀樹と一字違いだと気付きました。ヒデキが大人気の頃は面映ゆく感じていました。しかし、私の名前は、私の生年の秋にノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士(当時、確か阪大助教授?)にあやかって、阪大病院の医員であった父が命名したものです。西条さんより先輩だと自負していました。ただ、湯川博士には比べるべくもなく、「ふでき、不出来」と揶揄されたものです。
三雲クリニック
11/1 今日は新旧暦とも ついたち。お朔日詣り。コロナなんか怖くないが、ワクは怖い。打ったらあかん❕ コロ・ワクは毒チン❕❕