診療(診察・治療)2018年04月03日
#80) 黄砂で喘息がひどくなる

 4月1日(日)は暑いくらいの好天でした。大阪・南河内・太子町にある磯長山(しながさん)叡福寺へ墓参に行ってきました。墓参のあと、二上山(ふたかみやま)を仰げる緑陰に車を駐めて、満開の桜花とうぐいすの初々しい声を愛でながら持参の弁当を頂きました。

 

 しかし、翻って西方を見れば、PL塔も堺市方面の空も濁っています。「春霞」なんて風雅なものではなく、おそらく黄砂だと思います。ここ叡福寺まで来る途中、近畿道から大阪平野を見渡していると黄色く濁っていました。

 三雲地域でも2,3週間前から車の窓や屋根の汚れ具合がひどくなったことに気付いていました。また、私の喘息も悪化しており、ふだん使っているシムビコート(吸入ステロイド)の吸入回数を増やしても追いつかない日にはプレドニン(ステロイド)内服を併用しています。

 

 ところが、気象庁の黄砂情報を見ても「殆ど飛散していない」と表示されるばかりです。この観測は目視によるらしいです。正確には、一定量の空気を補足して粒子数や粒径分布の定量的分析をしなければ判らないと思うのですが、最近の気象庁はそういう観測を止めてしまったのでしょうか? 出雲市に住んでいた頃は、松江気象台が黄砂やPM2.5など健康被害をもたらす空気中微粒子の定量的観測を続けていました。当時、日本海沿岸の気象台では観測と統計データの公表をやっていました。

 いま、そんな観測をやっているか否かも不明です。やっていても公表していないのかも知れません。黄砂の発生源は中国西方の砂漠ですが、一説によると、その中国に遠慮して黄砂の飛来量を実際より少なめに公表しているのだとか…

 

 出雲市など日本海沿岸地方では、「毎年2月になると喘息の状態が悪くなる患者が増える」と島根医大病院・呼吸器科の医師が言明していました。私もその患者の一人だったので、黄砂の飛来時期が身体でよ~く判るのです。出雲に比べれば三雲は随分マシですが、それでも喘息の悪化を指標として黄砂の飛散量が体感できます。

 

 喘息を抱えておられる患者さんたち、症状悪化はあなたのせいではありませんよ。普段のお薬ではコントロール不良だと思ったら、どうぞ受診なさってください。きちんと対処させていただきます。くれぐれも無理をなさらぬよう。