以下は未完成の仮版です ➡ ほぼ改訂せずに、正式の #118 とします (2020.08.23 処暑)
問 題 提 起 新型コロナ感染者数の増加に伴い、重症化するケースが増えつつあると聞きます。
そんな状況にあって、いま一番知りたい点は、厚労省の『診療の手引き』に明記されたステロイド剤デキサメタゾンが全国の新型コロナ治療病院できちんと使われているのか否か?です。その現状が報道にはさっぱり出てこないことから、医療機関のデキサメタゾン認識が普及しているのかどうか、気になってしょうがないのです。
「デキサメタゾンを 6 mg/日 × 10日間 内服または注射」という英国式処方をした上でもなお重症化を食い止められないのか? それとも、デキサメタゾンを投与していないから重症化したのか? そこの見極めが肝要だと思います。
厚労省も『診療の手引き』に書いたものの、あまり大々的にキャンペーンしているようには思えません。「公認して明記したんだから、あとは医療者側が忖度せよ」というような無責任な態度であるかに見えます。
いま拡大中のウイルスが全国共通のタイプであるという証拠はない
前回の#117) で、新型コロナウイルスは感染力が強まったが、毒性は弱まった、という国立感染研の発表を引用した。しかし、感染者数の拡大とともに大阪では重症化する症例も増えつつあるらしい。
厚労省が出した『診療の手引き 第2.2版』にステロイド剤デキサメタゾンが記載されたが、国がデキサメタゾンの使用を積極的にアピールしている様子はうかがえない。国内で2番目に承認された新型コロナ治療薬としてデキサメタゾンの名前が記載されてはいるが、全国の医療機関に向けてその積極的な投与を呼び掛けてはいない。
もともと英国オクスフォード大学らが発表した臨床試験成績が情報源であり、他人のふんどしで相撲を取るような気配がするけれど、有効性が科学的かつ臨床的に証明されたのだから積極的に使う必要がある。いわば治療する上での義務と考えてもらいたい。
重症者が増えているとされる大阪や沖縄や東京で、このデキサメタゾンが実際に使用されているのか否か、その情報が無い。もしもデキサメタゾンを正確に原報告どおりに投与したにも拘わらず重症化が防げないのだとすれば、そのウイルス株が国立感染研の報告した株と同一か否かを疑う必要も生じる。
つまり、全国で共通の同一株が拡散中だと考えるのは早計であろう。疑ってかかるほうが正しいようにも思える。
外国の報告とも臨床像の差異が目立つように思える
外国ではCOVID-19合併症として、「川崎病のような心臓血管系の障害」、「血液凝固系の異常として血栓症」、「免疫系とくにリンパ球の抑制」、など多くの種類の合併症が報告されている。しかし、国内ではあまり多くない印象を受ける。
これらの解離から、外国のウイルス株と国内のそれとは別種であると考えられる。
新型コロナウイルス感染症には6つのタイプがある、って?
英国キングズ・カレッジ・ロンドンの Dr. Claire Stevesらは、7月にプレプリント(査読の済んでいない投稿論文)専門公表サーバーである medRxiv (メド・アーカイブと読む)に提唱した。COVID-19には6つのタイプがあることを。ここでは詳細を述べない。ネット検索をしてください。
しかし、いずれのタイプであれ、間質性肺炎を引き起こすメカニズムは共通して「免疫系の暴走」であるに相違ないですから、ステロイドが重症化阻止に効くのは確実だと思います。
デキサメタゾン 6mg/日 はプレドニゾロン 40mg/日 に相当
「デキサメタゾン 6 mg/日」と言われても多いのか少ないのか? 医療者以外の人には分かりませんよね? 関節リウマチなどの治療に頻繁に使われる標準的ステロイド剤・プレドニゾロンならば 40 mg/日に相当する、かなりの高用量だと思ってください。そんな多量のステロイドを使えば血糖値は簡単に数百 mg/dL まで跳ね上がってしまうでしょう。 もちろん、抗炎症作用は十分に発揮できると思いますが…
多くの薬について、日本人向けの用量は欧米人に比べて少ない傾向があります。COVID-19に対してもデキサメタゾン 6 mg/日(あるいは、プレドニゾロン 40 mg/日)は多すぎるかもしれません。日本人向けのステロイド剤の種類と用量の選択が必要だろうと思います。おそらく、医療現場では各個の医師が自己判断で種類×用量の選択を実行しているかもしれません。そんな情報を集約して日本人向けの公式治療ガイドラインを整えることが喫緊の課題であると思います。COVID-19の重症化を防ぎ、死ななくても済む病気にするために。
デキサメタゾン 6 mg/日 は日本人には多過ぎないか?
糖尿病を持つCOVID-19患者は、糖尿病を持たないCOVID-19患者よりも重症化しやすい、というのはよく知られた事実です。その糖尿病・COVID-19患者の中でも、血糖コントロールが不良なほど重症化リスクが高い、ということも分かってきたようです。
だとすると、デキサメタゾンなどのステロイドを用いる場合、ステロイドの持つ抗炎症作用が、ステロイドの持つ血糖上昇作用によって相殺されてしまうおそれがあります。日本人にデキサメタゾンを 6 mg/日 投与したときに血糖値がどれくらい上昇するのか? これまでの膨大なデータがあるのではないでしょうか? その視点からすれば、日本人にデキサメタゾン 6mg/日 投与すると血糖が上がり過ぎて抗炎症作用を台無しにしてしまう可能性もあります。
抗炎症作用を最大限に活用しながら、血糖上昇を抑える方法
ステロイドの持つ抗炎症作用を最大限に引き出しつつ、それの持つ血糖上昇作用を抑える妙手があります。拙ブログ 『#109) 自身が患者ならではの糖尿病治療』で述べたSGLT2阻害剤の併用です。
ステロイドとSGLT2阻害薬を併用することによって、抗炎症作用には邪魔することなく、余分な血糖上昇を抑えることができます。この併用によって、糖尿病患者であっても無くても、ステロイドによるCOVID-19重症化阻止作用をフルに引き出せるはずです。
こんな発想は未だ聞いたことがありません。しかし、私が考えつくようなことは世界で既に考え付いて、すでに治験をやっている人が居るかもしれません。日本国内でも重症化する人が増えつつあります。日本人に最適なステロイドの種類と用量を決めること、そして何よりも独創的な発想、SGLT2阻害薬を併用すること、を出来るだけ早くシステマチックに実施してほしいものです。
そういった治験で最も大切なことは、細かい血糖値などに目を奪われることなく、究極の目標、つまり重症化阻止・死亡率低減を判定指標とすべきことです。
三雲クリニック
12/7(土) 大雪(黄経255°)次は冬至です。日本人の免疫力落ちてます。打ったらあかん‼ コロ・ワクは毒チンやでぇ❕