義歯治療2022年06月28日
義歯装着による心理性の回復

患者:56歳、女性

 

主訴

仕事で人前で話すと入れ歯が落ちることと、時には飛び出す事、入れ歯が不安定で固いものは全くといっていい程噛めないが、そんな事より人前で話せるようになりたい。

8の挺出が認められる。

口腔内所見

上下の義歯の安定が悪く、前歯部開咬、上顎総義歯の前歯部突出が認められる。

但し上下顎の歯槽堤の状態は良好。

 

顔貌所見

上下顎前突で、口元に緊張感があり、無理に口元を閉じている感がある。

 

まとめ

最終義歯の工程が進展し、義歯装着に順応でき満足感が得られると、心理的にも良いサイクルへ導入される。

その結果として表情は明るくなり、姿勢すら改善される。特に女性では化粧気のなかった人でも口唇の翻転状態が回復されたため口紅が塗れるようになり、お化粧をしたり着物すら別人のような好みとなる場合がある。この時、この女性は化粧気がなかった理由も、実はできなかったためであり義歯装着による心理性の回復の要因の1つがこんな点にも現れることは興味深いことがらである。

 

 

私自身、患者さんに接していてもほぼ同じ結果が返ってきますが、少し違うのはこの3つを満足する入れ歯を手にした後に一番強く患者さんが訴えるのは、男性には男らしい、女性には女らしい、誰が見ても入れ歯とわからない自然な感じを求めることです。

その入れ歯を手にした時、本当にうれしい笑顔が戻ります。

現在の美容整形の目標が画一的な美しさを求めるのではなくその人の持つ個性の美しさ、美容整形したかどうかわからない美しさを作るのと同じです。

現在の歯科医学の発展には著しいものがあり、過去と違い噛み合わせも歯がなくなる前の顔やあごの形に近づけ、若さをとりもどし顎の関節とのかねあいも考えて作ります。