鍼灸2018年05月26日
お灸の話。3

今日もまたお灸の話です。以前 市民向け健康相談会を行っていた頃、よく鍼灸の話をしましたが、鍼はやはり鍼医者が行っていたようでお話は少ないのです。お灸はいわば民間療法のようになっていましたので色々な話があります。

今回は足の三里というツボのお灸の お話。

 時代劇はお好きですか?私は好きでよく見ています。東海道53次は有名ですが、江戸から京都までどのくらいの日数で行っていたと思いますか?だいたい7~10日くらいで行ったと言われています。一日40キロ強くらいでしょうか。朝から夕方まで歩くのです。たまにはかごに乗ったり馬に揺られたりということもありますが。一日40キロ、毎日フルマラソンしている感じですね。

 時代劇で夕方 旅籠屋の女中さんが旅人を客引きしますね。「お客さん!うちはいかがですか?」「じゃあ ここにしようか。」「お二人さんお泊り~」「すすぎもっといで!」なんて会話がつづきます。お泊りの客は部屋に通されると 足の三里 にお灸をするんです。疲れきった足を回復するため 明日の歩きのために足の三里にお灸です。

足の三里 には足を楽にする他にもっと別の効能があります。それは胃腸の調子を整えるということ。昔から ところ変われば水変わる と言いますよね。水に当たらない為にも 足の三里にお灸することが大切だったのです。

旅籠ですすぎ も重要で 草鞋で歩いていてそのまま座敷に上がってもらうのも困りますが すすぎにはもっと句会訳が・・・。女中さんが旅人の足をすすぐときに 足の三里にお灸をしているか 確認するんだそうです。足の三里にお灸しない人は「健康管理のできない人」。泊まってもらうのはいいけど、急に亡くなってしまうと厄介だしお葬式は宿屋持ち。なので 足の三里にお灸をしているかどうかみるということもあったそう。昔の人の知恵ですね。こんな具合にお灸は広く一般ピープルに浸透してたようです。健康管理はお灸くらいしかありませんでしたから。

少しお灸が身近になりましたか。また時代劇をそのようにみていくとまた楽しみも倍増です。